食道静脈瘤破綻を未然に防ぐためには出血の予知を的確に行うことが重要である.われわれは静脈瘤破綻をきたした症例のうち,出血前1年間の静脈瘤の変化が経時的に観察できた30例について検討を行なった.まずRed color signの増強は静脈瘤出血と密接な関係を示した.次に静脈瘤が短期間に悪化する症例では,静脈瘤はF2やF3の様に丸みを帯びず,むしろF1様で静脈瘤の頂点が鋭角に食道内腔に向かって突出する"峰型の静脈瘤"とでも言うべき形態を呈した.Varicealographyでは一本のF1様に見えた"峰型の静脈瘤"が,実際は細い静脈の束からなることが判明した."峰型の静脈瘤"が出現した場合には,急激に悪化し出血の危険性の高い静脈瘤として早急な対処が必要と思われる.