癌細胞由来のplasminogen activator(以下PA)が消化器癌の浸潤,転移にどのように関わっているかを検討した.免疫組織染色で胃癌の先進部や脈管侵襲部でurokinase(以下UK)が強く染色された.胃癌および転移リンパ節でUK値がそれぞれの健常組織に対して有意に増加していた(胃癌原発巣:10.59±10.61unit/g vs 1.03±0.72n=17p<0.01,リンパ節:5.08±1.72 vs 1.39±0.50n=9p<0.05).腹膜組織のUK値は腹膜因子P_0でも主病巣の深達度がse以上では高値を示し,逆にtissue-PA(以下t-PA)値は低値を示した.胃癌原発巣組織中のplasminogen activator inhibitor-I(以下PAI-I)値が高い症例ではリンパ節転移例が高い傾向を示した.食道,胃,大腸癌患者の血漿中t-PA値はcontrolに対して低下していた.癌組織局所でのUKの活性化,全身臓器でのt-PAの低下など,PAが癌の浸潤や転移に深く関わることが示唆された.